ふわりふわり、落ちていく
ぼくはどこまで行くのだろう
ホワイト、クリーム、フラワーベージュ
やわらかな色がぼくを包む
ふわふわふわ、落ちていく
ぼくをどこまで連れて行くのだろう
イエロー、オレンジ、グリーンチャーム
あざやかな色がぼくを抱く
目を覚ませば暗闇でそこかしこに小さな光の帯が見える
縦横無尽に動き回るそれらは光の濃度を変えながら
ぼくの周囲を照らしている
ぼくには一度も触れることなく
光の帯に触れようとしてもなぜだかぼくの手は見えない
そこにあるはずのものなのに視線の先にはなにもない
右と左、どちらを動かそうとしてもどこにもないから動かない
足ならどうだと動かそうとしてみたが
右と左、ああやはりどこにもない
上も下も、前も後ろもどこを見たって手足が見えない
そして体さえぼくには見えない
どこへ行った、どこに行った
ぼくの手は、ぼくの足は、ぼくの体は――はて?
ぼくの頭はどこにあるのだろう
手も足もなければ頭に触れることができない
そこにあるはずなのに分からない
目も耳も口も鼻も機能しているはずのものが
もしかしたら幻想なのではないか?
見えているもの、聞こえているもの
発しているもの、嗅いでいるもの
もう何もかもがわからない
思考さえも分からなくなってしまった
この目に見えている光の帯はいったい何者なのだろうか
ぐらりぐらり、揺れている
ぼくはどこまで落ちるのだろう
グレー、アンバー、インディゴナイト
やわらかな色はいつしか消え去り
あざやかな色たちは幾度も混ざり
ぼくの目の前には光なき闇だけが存在していた
そしてぼくも闇となる