消えていく鈍色の缶つみ重ね 年老いた猫は食欲の秋
ひゅうひゅうと奏でるものはヤカンなり 音楽会は今日も盛況
秋となり衣をかえる時期がきた ひとふさ、ふたふさ 抜けるその毛
黙々と縫いてゆくなりぬいぐるみ ただひとときの勢いとノリ
さらさらとすり抜ける君、雪の花 黄昏に染む恨めしい今
初雪は気づけばそこにあるものよ 進学先でようやく知った
君はもう雪溶けの中消えていた 無駄になったな折り畳み傘
あなたにも見せてあげよう雪の花 顕微鏡とは野暮なものだね
雪ふわり、初めて君と手をつなぐ からむ指先が熱をはらむ
水面より底に沈んでいたいなあ あたたかな泥の中で眠る