第22話 其は蛍石の瞳なり

 ――ベイリーウス王国。  この国は大きな変革を迎えようとしていた。  長年、国を統治してい当代の国王が王権の返上を申し出たのだ。それはすぐに各国へ伝わり大きな話題となったが、ベイリーウス王国内では何故か比較的早く受け入 […]

第21話 其は赤い目のドールなり

 トゥーサンの耳に誰かの泣く声が聞こえてきた。  それは不思議とトゥーサンの心を揺さぶるもので、その声に導かれるかのようにトゥーサンの足は声のもとへと歩き出す。  甲高い声はどうやら幼い少女のようで、近くに保護者がいない […]

第20話 トンボ玉の道しるべなり

 干からびた大地の上で、一人の少年が呆然と座り込んでいた。  少年の目の前には一人の女性が倒れている。つい先程、命の灯火を消したばかりの女性が。  女性の右手は少年に向かって伸びており、その手には丸いガラス玉のついたブレ […]

第19話 魂を糧に響く箏なり

 鼓の目の前には新品の箏が置いてある。手触りの良い布の真ん中に、ぽつんと一つ――美しい装飾の施された箏が……。 「翼さん。これ、本当にわたくしが貰ってもよろしいのですか?」 「ええ、もちろん」 「お高いのではありませんか […]

第18話 其は堕胎の香炉なり

 カランコココ。店の扉が開く音が聞こえてきた。 「いらっしゃいませぇ」 「おはよう、店長さん。今日もいい天気だね」 「チェーザルじゃないかぁ。君が朝早くにやってくるだなんて珍しねぇ」 「低血圧だから朝は苦手だけど、起きれ […]