外は雨がざあざあとふっていた。 今日は、お父さんとお母さん、そしてわたしの三人でクロツキ村の近くをながれる川へあそびにきていた。 川であそんでいたら、とつぜん雨がふりだして、近くの大きな家で雨やどりすることになった […]
カテゴリー: Short
そらをとびたいな
トントン、トントン。 ユウキくんがそらへとんでいく。 トットット、トンッ。 あおいちゃんがそらへとんでいく。 「おーい、ハナちゃん。こっちへおいでよ!」 「ハナちゃんもいっしょにおそらをとぼうよ!」 ユウキくん […]
あかりとくろいもやもや
めのまえが、キラキラ かがやいている。 あか あお きいろ。 みどり ピンク オレンジ。 いろんな いろが、たくさんある。 「ここは、どこ?」 あかり、こんなところ しらない。 みぎ、ひだり。うえ、した。 […]
リンゴ虫と白雪姫
真白の国には、白雪姫と呼ばれるお姫様がおりました。雪のように白い肌、黒檀のように黒い豊かな髪、血のように赤く染まる頬、唇――そして瞳をもった可憐な少女です。 そんな彼女には、友達が一匹しかおりません。一人ではなく、一 […]
セイレイ川のひみつ
その日はとても天気がよく、姉の提案で山奥にあるセイレイ川に家族そろって遊びに来ていました。姉は川や植物、空など自然の風景写真を撮ることが好きで、今も自前のカメラでそこらの木々や川を泳ぐ魚を写真収めています。父と母、そし […]
幼馴染は聖女になったそうです。
美しい声が聞こえた。それは幼いころから聞き慣れた甲高い声ではなく、ふかふかの毛布で包み込んでくれるような温かい声。 ――ああ、彼女は夢を叶えたのだ。 画面の向こうに映る彼女は、数年前まで斜め向かいの一軒家に住んでい […]
リックとゆいちゃん
さんさんと降り注ぐ太陽の下、ごろりと寝転ぶまあるい毛玉がいた。 名前はリック。猫のリック。大好きなものは飼い主のゆいちゃんと煮干し。そして、お昼寝だ。 「リックー! リックんー? リッちゃーん!」 にゃっ! ゆいち […]
足先の波
見上げた先には雲一つない青空。……ではなく、灰色に染まった曇り空だ。 「せっかく海まで来たのに、曇りで降水確率60%ってむなしくね?」 「雨が降っていないだけマシなんじゃないか? まあ、太陽が隠れているせいで海面はぼん […]
赤い万華鏡
「これは夢だ」 目の前に広がる赤は、まるで現実とでも言うように私にからみつく。 「これは、夢だ」 夢でないのなら、なんだと言うのか……。これは、私が見ている悪い夢だ。 進学先から帰省中の私は、高校時代の友人と久しぶ […]
色水の涙
ポロポロと、零れていくものがあった。 それは私にとって大切なもので、他人にとってどうでもいいもの。 「ああ、虚しい」 嬉しいとはなんだろうか? 楽しいとはなんだろうか? 悲しいとはなんだろうか? 腹立たしいと […]