第21話 ヒロト、家に帰る

 目覚めるとそこは、僕の通っている小学校の図書館だった。  窓際の席で、窓の外にはしんしんと降る雪の中、同級生や先輩に後輩たちが雪遊びをしている。ほとんどは雪合戦のようだが、端っこのほうでは低学年の子が雪ウサギや雪だるま […]

第20話 ナガレボシ三兄弟・2

「それじゃあ、探し物屋さん。ありがとうございました!」 「「ありがとうございました!」」 「うん。気をつけて家に帰ってね」 「はい」  アカリさんは、もう泣いていなかった。  今は光一くんと三希くんと手をつないで、笑顔を […]

第19話 ナガレボシ三兄弟・1

 アカリさんと政紀くんは、仲直りと言うわけではないが和解することができたようだ。 「それじゃあ、政紀! 説教の続きぞ! おばさんにも伝えるから、もっと怒られてしまえ!」 「ちょ、かーちゃんに言うのはやめろ!」 「お前のや […]

第18話 探し物と探し人・4

「なんで! どうして!」 「ごめん」 「ごめんじゃ分からない!」  アカリさんは政紀くんにつかみかかって揺さぶってる。 「泥沼だわぁ」 「ちょっと、メル。それは違うよ」 「少しは止めようよ、ヒロト」 「え、ショッパ。探し […]

第17話 探し物と探し人・3

 それを見つけたのは、たまたまだった。  南美橋の下で釣りをしていると、上のほうから赤いなにかが川の中に落ちてきたんだ。近寄ってそれを拾うと、それが綺麗な赤い飾りのついた髪飾りだってことが分かった。  簪という名前だった […]

第16話 探し物と探し人・2

 それから私は、一ヶ月をかけて川沿いを下りながら、川の中に入って簪を探した。  端から端まで探しても、どこにも簪はないし、冬の川に入るとはバカじゃないのかと怒って、私を川から引きずり出す人も何人かいた。その人たちは私を家 […]

第15話 探し物と探し人・1

「はなして! はなしてよっ!」 「待てってば! 冬の川に入るなんて、バカだろ!」 「うるさい! アンタには分からないでしょ!」  早く、早く。見つけないといけない。  お母さんから預かった、お母さんの大切な赤い飾りのつい […]

第14話 走り出す少年たち

 コガネくんは、コガネくんのお母さんと一緒にこの町にやって来たらしい。  あの日、僕がコガネくんのお母さんに「もし、探している人がいるなら花屋さんに行ってみてください」と言ったのを聞いていたコガネくんは、どうしようかと迷 […]

第13話 コガネ、再び

「あー! いい、朝!」 「うーん、太陽が出ているから雪解けには気をつけないといけないね~」 「ショッパ……」 「ヒロト。本当のことだよ?」  分かってる。分かってるけど、言わないでほしかった。  これでアカリさんの捜索が […]

第12話 山の子供たちと疑問・3

「えっ、それ……花火じゃないの?」  ショッパが持ってきた赤いロウソクを見ていると、エン太くんが残念そうにそれを見て言った。  他の子たちも、同じように残念そうにしている。  この子たち……、本当にこれが花火だと思ってい […]