今日もルメイ堂に客ありて

●あらすじ 望むモノがなんでもそろう雑貨店・ルメイ堂へようこそ。 かわいい人形から綺麗な音を奏でる様々な楽器、持ち主に加護を与えるお守りから持ち主の命を喰らう呪いの品までなんでもそろうこの店で、何をご所望だい? 本名・性 […]

幼馴染は聖女になったそうです。

 美しい声が聞こえた。それは幼いころから聞き慣れた甲高い声ではなく、ふかふかの毛布で包み込んでくれるような温かい声。  ――ああ、彼女は夢を叶えたのだ。  画面の向こうに映る彼女は、数年前まで斜め向かいの一軒家に住んでい […]

第21話 ヒロト、家に帰る

 目覚めるとそこは、僕の通っている小学校の図書館だった。  窓際の席で、窓の外にはしんしんと降る雪の中、同級生や先輩に後輩たちが雪遊びをしている。ほとんどは雪合戦のようだが、端っこのほうでは低学年の子が雪ウサギや雪だるま […]

第20話 ナガレボシ三兄弟・2

「それじゃあ、探し物屋さん。ありがとうございました!」 「「ありがとうございました!」」 「うん。気をつけて家に帰ってね」 「はい」  アカリさんは、もう泣いていなかった。  今は光一くんと三希くんと手をつないで、笑顔を […]

第19話 ナガレボシ三兄弟・1

 アカリさんと政紀くんは、仲直りと言うわけではないが和解することができたようだ。 「それじゃあ、政紀! 説教の続きぞ! おばさんにも伝えるから、もっと怒られてしまえ!」 「ちょ、かーちゃんに言うのはやめろ!」 「お前のや […]

第18話 探し物と探し人・4

「なんで! どうして!」 「ごめん」 「ごめんじゃ分からない!」  アカリさんは政紀くんにつかみかかって揺さぶってる。 「泥沼だわぁ」 「ちょっと、メル。それは違うよ」 「少しは止めようよ、ヒロト」 「え、ショッパ。探し […]

第17話 探し物と探し人・3

 それを見つけたのは、たまたまだった。  南美橋の下で釣りをしていると、上のほうから赤いなにかが川の中に落ちてきたんだ。近寄ってそれを拾うと、それが綺麗な赤い飾りのついた髪飾りだってことが分かった。  簪という名前だった […]

第16話 探し物と探し人・2

 それから私は、一ヶ月をかけて川沿いを下りながら、川の中に入って簪を探した。  端から端まで探しても、どこにも簪はないし、冬の川に入るとはバカじゃないのかと怒って、私を川から引きずり出す人も何人かいた。その人たちは私を家 […]

第15話 探し物と探し人・1

「はなして! はなしてよっ!」 「待てってば! 冬の川に入るなんて、バカだろ!」 「うるさい! アンタには分からないでしょ!」  早く、早く。見つけないといけない。  お母さんから預かった、お母さんの大切な赤い飾りのつい […]

第14話 走り出す少年たち

 コガネくんは、コガネくんのお母さんと一緒にこの町にやって来たらしい。  あの日、僕がコガネくんのお母さんに「もし、探している人がいるなら花屋さんに行ってみてください」と言ったのを聞いていたコガネくんは、どうしようかと迷 […]